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若手生産者と目指す“日本一のりんごの町” 移住者も活躍
長野駅から車で30分ほどの通勤圏にある飯綱町。 北信五岳の山並みの一つに数えられ、妙高戸隠連山国立公園にも指定された飯縄山のふもとにあります。 標高が500〜700mと高く、昼夜の寒暖差が大きい気候条件を利用して、りんご栽培や稲作が盛んに行われています。 特にりんごは50以上の品種を栽培しており、私達が食べるりんごの100個に1つはこの飯綱町で育まれ、近年は農家がつくるシードルやお菓子など、りんごを使った美味しいものがたくさん生まれています。 そんな飯綱町で活躍するのが、若い世代のりんご農家たち。 そこには、移住の経験者が多く含まれ、外からの発想とともに、りんごから広がる町の可能性を探っています。 近年、飯綱町で注目を集めているのが、クラフトシードルの醸造。 りんご果汁を発酵させてつくる発泡性のお酒です。 きっかけは、廃校を利用した施設・いいづなコネクトEAST内に誕生したシードル醸造所「林檎学校醸造所」。 代表の小野司さんは、町内のりんご農家の長男として生まれました。 若い頃は、一度は都会でも暮らしてみたい気持ちがあり、しばらくは県外でIT系の仕事に従事。 しかし、町外に出て初めて、飯綱町の農業や自然の良さ、空気のきれいさが恵まれていることに気づいたと言います。 「父が2005年からシードルを委託醸造していて、その美味しさに感動したのが始まり。 以来、仕事の傍ら、実家のシードルの営業や、2015年に『日本シードルマスター協会』を立ち上げるなど、シードルの普及にも力を入れてきました。 段々と認知度が上がってくる中で、今度は飯綱町に醸造所をつくりたいと思ったんです」。 小野さんのシードル醸造所プロジェクトは町の新規事業コンテスト「いいづな事業チャレンジ2018」で見事グランプリを獲得。 「林檎学校醸造所」完成後の2019年2月には果実酒製造の免許も取得し、現在はりんごの収穫が始まる8月〜翌4月にシードルを醸造。 甘口や辛口、りんごのブレンドや酵母違い等、複数の種類をラインナップしています。 最近は、りんご農家の委託醸造も請け負っており、特に若い世代の農家から醸造の相談が増えているといいます。 りんご農家にとってシードルは、自らのブランドをつくることができるアイテム。 りんごに生産者の名前は記せなくても、シードルならつくり手の情報を最終的な消費者まで伝えることができ、味でも個性を発揮することができます。 小玉や見た目が悪いだけのりんごも活かすことができ、賞味期限も長いので、シードルは農家が抱える課題をいくつも解決する商品なのです。 「この地域にもっとシードル醸造所が増えて、切磋琢磨しながら業界を盛り上げる仲間ができたらいいと思います。 シードル醸造所めぐりができる町として人を呼ぶことができるかもしれないし、シードルづくりはこんな田舎の町でも面白いことができるという良い例になる。 新しいことに挑戦したい若い農家さんにとっての切り口になればいいなと思います」。 田舎暮らしには良い部分とそうでない部分があるといわれますが、小野さんにアドバイスをもらいました。 「田舎暮らしのイメージへの憧れだけではなく、具体的に移住して何をしたいか。 大変なことがあっても、その時に立ち戻れる目的をしっかりと持つことが大事です。 あとは、いろんな人と仲良くなれる、人間関係づくりを楽しめる人は、移住に向いているんじゃないかなと思います」。
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自分でつくるオンリーワンのものに囲まれた生活、という豊かさ。便利すぎる日常から不便で豊かな飯綱町へ。
りんご農園「Fujiwara roots farm(フジワラルーツファーム)」は、スノーボードが大好きな夫妻、藤原新哉さんと奈緒美さんが運営しています。 二人は新規就農者として県外から長野県に移住し、2年間の研修を経て2012年に独立、2018年に飯綱町に移住して、二人のお子さんと暮らしています。 東京都出身の奈緒美さんいわく、飯綱町を選んだ理由はシンプルで、「りんごがすごく美味しかったから」。 飯綱町での子育ては、大型ショッピングモールや遊園地等のアミューズメント施設が都市に比べて乏しい反面、周りにある自然の中でどのように遊ぶかを教え、学ぶことができる、と奈緒美さんは話します。 「英才教育を目指すなら、都市部の方が便利かもしれませんが、飯綱町ではシュタイナー教育のような身の回りにある自然の産物をつかって遊ぶ教育を、親子で楽しむことができますよ。 車で30分圏内にあるスキー場はもちろん、海なし県の長野にあっても、夏場は新潟県の海や野尻湖の湖で遊べます。 保育園や小学校の生徒数が少ないので、子どもたちへの目が行き渡りますね。 ただ、習い事への送り迎え等、車を運転できないと子育ての面でも不便です。」 農園名の“roots”には、農業や生活の原点を大切にしたいという想いが込められており、ここでは化学肥料を使わず、農薬を減らし、除草剤を使わない、皮ごと食べても安心なりんごを生産しています。 それは、自らが子供を持ったことで、口に入るものの安全性を考えるようになったためでした。 農薬使用を制限するとどうしても生まれてくるのが、生食用としては価値の低い“規格外りんご”。 奈緒美さんは、それらから、りんごをそのまま食べているかのような、毎日を元気にしてくれるジュースをつくっています。 今後は、見た目は悪くとも減農薬で安心な、加工用のりんごを商品として定着していけたらと奈緒美さんは話します。 農家以外のバックグラウンドを持つ彼女たちならではのアイデアが、飯綱りんごの新しい道を開いていきます。 町の空気を特産品で感じよう。「飯綱町のおくりもの」 まだたくさんの人には知られていない、飯綱町から生まれる美味しいものは、大量生産ではなく、つくり手の息遣いを感じる特別なおくりものです。 あなたの手元に届くまでの道のりや、おくりものが育まれたまちの風景を知りながら、旅をするように商品を選んで、味わってみませんか。 日常の食卓に、大切な人のギフトに、飯綱町の生産者からの「飯綱町のおくりもの」をどうぞ。 https://shun-gate.com/areastory/iizuna/ 画像提供元:日本の食文化発信サイト「SHUN GATE」
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