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田舎暮らしでの自給自足の生活に魅力を感じ、地方移住後に農業生活を送りたいと考える人もいるのではないでしょうか。しかし、初めての農業で生活が成り立つのか不安に感じる人も多いでしょう。 この記事では、農業生活に関心のある人に向けて、移住先で農業生活を叶えるための方法や農業の種類についてご紹介します。また、実際に農業生活を始める人に役立つ支援内容についても、あわせてご紹介しますので参考にしてみてください。 ■移住先で農業を行うには? 移住先で農業を行うためには、大きく2つの方法があります。ここではその2つの方法と、それぞれのメリットについてご紹介します。 〇自分で農業を経営する 自分で経営する場合は、生産する農作物や経営方針などを自由に選択し、決められるというメリットがあります。 ただし、作物や家畜を育てるための場所や設備の購入が必要です。運搬用のトラックやビニールハウス、肥料、農作業用の機械なども、自分で準備しなければならないこともあります。 こういった、農業をはじめるにあたって必要な土地条件や設備や機械、それらにかかる費用がどの程度か、などを、農業を経験したことがない新規就農希望者が把握し、揃えることは困難です。 そのため、自治体やJAなどでは、新規就農希望者向けに農業研修を提供しています。また、新規就農者に向けた給付金や設備投資にかかる費用の一部を補助する補助金制度も整備していることもあるので、移住先となる自治体が提供している支援制度を確認してみるとよいでしょう。 なお、農地にかかる費用に不安がある場合は、農地付き空き家を検討することもおすすめです。自治体の空き家バンクに登録されていることもあるので、事前に調べておくとコストを抑えて住居と農地を得られるかもしれません。 〇農家で働く 就労する人を募集している農家で働く方法もあります。 収入を得ながら、農業のノウハウについて実践的に学ぶことができる働き方です。 指導してもらえる、いつでも相談できる環境となる可能性が高く、初めて農業を行う人にとっても安心できる環境といえるかもしれません。 後継者不足に悩み、担い手を探している農家もあるため、働き先となる農家によっては、後継として事業を任せられることがあるでしょう。 ■農業の種類 農業は、育てるものによって大きく2つの種類に分けられます。 就農を検討している人は、就農後にどんな農業を行うのか検討の参考にしてください。 〇耕種農業 田畑を耕して種や苗を植え、農作物を育てる農業です。米や豆、野菜、果物、花などを栽培します。栽培方法は稲作、畑作、露地栽培、施設栽培などがあり、農作物によって異なります。 〇畜産農業 豚、牛、鶏、蜂などを飼育する農業です。食肉、牛乳、卵、はちみつなどを生産します。出荷まで1年以上かかることがあり、収入を得られない期間が発生することが予想されるため、支援制度を積極的に利用すると良いでしょう。
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■移住先で農業を始める際に受けられる支援 移住先で農業を始める際、国や自治体によっては就農支援のための制度を設けていることがあります。 ここでは、農業を始めるときに受けられる支援についてご紹介します。 〇全国新規就農相談センター 農業に興味を持つ人、仕事にしたい人に役立つ情報をまとめたポータルサイトを運営しています。 ポータルサイトには農業を始めるまでの具体的なステップ、農業の職業体験、農地や住宅情報、自治体や地域の就農支援情報など、幅広い内容が掲載されています。オンラインで情報収集できるので、すぐにでも活用できるメリットがあります。また相談センターでは、就農情報に精通した相談員に、無料で就農相談をすることもできます。就農相談会やセミナーが開催されることもあるので、こうしたイベントに参加してみることもおすすめです。 【参考】 全国新規就農相談センター https://www.be-farmer.jp/ 〇農業人材力強化総合支援事業 国が制定した事業のひとつで、農業の次世代を担う人材育成・確保に向けた事業です。就農希望者や新規就農者への資金の交付、法人雇用・就農の促進の取り組みなどを行っています。 資金の支援には農業次世代人材投資事業があり、都道府県や市町村が主体となって、農業者になることを目指した49歳以下の人に対し、就農準備や経営開始時の早期経営確立を支援する資金を交付します。 資金提供の種類は、就農希望者の状況に合わせて、「準備型」「経営開始型」の2種類があります。 ・準備型 都道府県が認める道府県の農業大学校の研修機関などで、就農に向けた技術取得などの研修を受ける就農希望者に、最長2年間、年間最大150万円を交付します。 ・経営開始型 独立・自営就農する認定新規就農者※となる人に対し、経営を始めてから経営が安定するまでの資金を交付します。期間上限は最長5年間で、経営開始1~3年目は年間150万円、経営開始4~5年目は年間120万円を定額交付します。 ※認定新規就農者とは、自身の農業経営開始後5年目の目標を示した就農計画を示した「青年等就農計画」を市町村から認定された個人・法人を指します。 この定義は、青年等就農計画制度に基づいています。青年等就農計画制度は、農業を営む認定新規就農者に対して重点的に支援措置を行うための制度です。場合によっては支援金交付の対象外になることもあるため、事前に確認が必要です。 【参考】 農業次世代人材投資資金 https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html 「青年等就農計画制度について」(農林水産省) https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/nintei_syunou.html 〇青年等就農資金 日本政策金融公庫が取り扱う、新たに農業経営を開始する人を応援する目的で作られた融資です。認定新規就農者が受けられる支援制度で、長期間にわたって無利子で融資を受けることができます。限度額は3,700万円、返済期間は最大17年です。受けた融資資金は、家畜の購入費、果樹や茶などの新植・改植費・育成費、農地の借地料や施設・機械のリース料などに使用できます。 【参考】 「青年等就農資金」(日本政策金融公庫) https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/seinen.html 〇移住支援金 移住先で就職した人を対象に、100万円以内(単身者は60万円以内)で都道府県が設定する額が支給される制度です。移住支援金の対象者は、下記3つの条件に該当する人です。 1. 東京圏(東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県)に在住し、東京23区に通勤している人 2. 東京圏以外の道府県又は東京圏の条件不利地域へ移住する人(移住支援事業実施都道府県・市町村に限る) 3. 就業条件として、①各都道府県が選定した地域の中小企業などへの就業、②テレワークにより移住前の業務を継続、③市町村ごとに決められた関係人口の要件を満たしている、④社会的起業などを実施する のいずれかに当てはまる人 対象者の詳細は、各都道府県・市区町村の移住相談窓口で確認すると良いでしょう。 【参考】 「移住支援金」(内閣官房・内閣府総合サイト) https://www.chisou.go.jp/sousei/ijyu_shienkin.html 〇起業支援金 移住先で地域の課題解決につながる社会的事業を新たに起業する人を対象に最大200万円支給し、効果的な起業を促進する制度です。対象者は、東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域において起業や就業などを行う人となります。 地方へ移住し、社会的事業による起業などをする場合、移住支援金、起業支援金の両方がもらえる場合があります。ただし、農業次世代人材投資資金などの起業に関するほかの国の補助金と重複して支援を受けることはできません。 対象者の詳細は、各都道府県・市区町村の移住相談窓口で確認すると良いでしょう。 【参考】 「起業支援金」(内閣官房・内閣府総合サイト) https://www.chisou.go.jp/sousei/kigyou_shienkin.html ■移住で農業生活を叶えるために支援制度の活用を 移住後に新規就農者として農業を始める場合、生活の変化、収入の変化が起こることに不安を抱く人もいるでしょう。特に、それまで都会で別の職業に就いていた人には大きな環境の変化となるので、いっそう不安を感じるかもしれません。 しかし、本記事で紹介した自治体で設けている支援制度を利用したり、JAからのサポートを受けたりすることで、少しずつ不安は解消することができます。あらかじめ、移住を考えている自治体が提供している支援制度を確認しておきましょう。 農業で必要な知識やスキルを磨きながら、ぜひ自分にとって理想の農業生活を実現してください。
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