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長野県佐久穂町の静かな山あいに、全国から家族が移住してくる学校がある。 学校法人茂来学園 大日向小学校・大日向中学校だ。 2019年に小学校が、2022年に中学校が開校して以来、日本初のイエナプラン認定校として、子ども主体の教育方針を実践している。 教育移住が起こり、廃校だった校舎に今では250人の子どもたちが通う。 同小学校校長の久保礼子さん、中学校校長の青山光一さんに話を聞いた。 ――学校ができた経緯を教えてください。 (久保さん、以下敬称略)イエナプラン教育そのものは歴史が古いのですが、日本ではあまり広まっていませんでした。約20年前、リヒテルズ直子さんが『オランダの教育』という本を出版されて、イエナプランの良さが紹介されたことで、全国各地で学習会や読書会が開かれるようになったんです。ただ、「オランダだからできるよね」「日本では難しいのでは?」という声も多かった。 そんな中、日本イエナプラン教育協会が「実際に学校を作って、子どもの姿で証明しよう」という動きがありました。 同じ頃に別の脈絡で、東京で幼稚園・保育園をたくさん経営していた、現理事長の中正雄一さんが、「幼児教育まではその子どもから教育がスタートするのに、小学校に上がった途端にこうあらねばならないっていう枠の中に子どもたちを当てはめるような教育になっている。もっと小学校も中学校も高校も、その子どもに応じた教育ができるような学校があるといい。」という想いを持っていらして、その双方がマッチングして、学校を日本に作ろうっていうことでスタートしたんですよね。 で、当時の設立準備財団メンバーたちが場所を探したときに、長野県佐久穂町というところに廃校になった学校があるっていうことで見に来て、「ここはいい!」っていうことでスタートし、佐久穂町議会からも受け入れてもらって開校することができたという次第です。
大日向小学校 久保校長
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――イエナプラン教育協会には、どんな方々が参加されていたのでしょうか? (久保)教員が多かったですね。保護者の方も。また、企業の人事の方も多かったです。若い社員が仕事はできるけど指示待ちで、自分で判断して動かない。これは教育の問題じゃないかと気づいた方たちが、イエナプランに関心を持たれて学習会に参加して下さってました。大人が受け身なのは、子どもの時の教育からきているのでは?そう考えて、学校教育のあり方に関心を寄せていました。 (青山さん、以下敬称略)社会は変わっているのに、学校はそのまま、とよく言いますが、実は社会も学校的で、受け身な姿勢のまま仕事に就こうとする人が増えていることを危惧する人たちが、イエナプランに集まったと聞いています。 ――お二人はどのような経緯で、この学校に関わられたのですか? (青山)私は公立学校の教員を19年やっていました。最後の数年は、自分の学級でイエナプラン教育を実践したんです。リヒテルズさんの話を聞いて感銘を受けて、すぐ現場で実践を始めました。当時はまだ実践者が少なかったので、リヒテルズさんにメールで質問するとすぐ返事が来るような時期で(笑)。その縁で、2020年からこの学校に関わるようになりました。 ――公立学校でイエナプラン教育を実践された手応えはいかがでしたか? (青山)手応えしかなかったですね。今まで教員が行儀良く子どもをコントロールする時間が長かったのが、子どもが自分で考えて学ぶスタイルにしてから、じわじわと子ども自身が主体者になっていくのを感じました。急激に学力が上がったわけじゃないんですが、2年ぐらいかけて学力テストの得点が10ポイント上がりました。 ――それは、校内テストですか?学外のテストですか? (Vol 02 に続く) 【参考】イエナプラン教育とは(日本イエナプラン教育協会) https://japanjenaplan.org/jenaplan/
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