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地方への移住を決めたら、次に気になるのは住まいではないでしょうか。都会とは違う田舎暮らしを豊かに楽しみたいのであれば、マンションなどの集合住宅でも建売住宅でもなく、風情のある古民家を検討してはいかがでしょうか? この記事では、前向きに検討している人に向けて、古民家ではどんな暮らしができるのか、費用や暮らしなど、気になる古民家にまつわるトピックをまとめてご紹介します。 ■古民家とは?魅力や注意点 古民家=古い木造住宅のイメージはありますが、そこでの暮らしはどんなものでしょうか? ここでは、古民家での生活がイメージしやすいよう、その魅力をご紹介します。 ◯古民家とは? 一般社団法人古民家再生協会では、建築基準法が制定された1950年以前に建てられた伝統的建造物の住宅を古民家と定義しています。重厚感のある古民家には築年数や施工方法など、厳密な基準があるように思えますが、法律による定義はありません。 【参考】 一般社団法人 全国古民家再生協会-「古民家」の定義について http://www.g-cpc.org/ ◯古民家の暮らしの魅力 ・趣のある空間 広々とした土間や縁側など、現代的な住居に慣れた私達には新鮮に映る古民家。大家族での居住を前提にした造りが多いため部屋数が多く、ファミリーで移住したい人も満足のいく間取りが見つけやすいでしょう。 部屋数の豊富さに加え、1つ1つの部屋も広いためのびのびと生活できるのも魅力です。壁ではなく、ふすまなどの建具で仕切れるので、家族の成長に合わせて空間を分けるといった対応もしやすくあります。 さらに自然素材を使った柱や梁、土や漆喰の壁などは経年により味を増していくので、住み続けるほど家に愛着がわくでしょう。 ・購入費用が抑えられる 立派な造りが多い古民家ですが、築年数が経過している分、想像よりも安価なことがあります。固定資産税は建物の評価額によって決まるため、購入価格が安いと毎年の固定資産税も抑えられる傾向にあります。 ■どのようにして古民家を見つけるのか 古民家が気になってきたら、物件探しのステップへ。物件情報は不動産屋、空き家バンク、友人・知人の紹介の3つが主な手段です。最もメジャーな不動産屋に相談する方法でも3つのパターンが考えられます。 ◯不動産屋から探す ・大手不動産サイトから探す 一度は耳にしたことのある大手不動産屋のサイトであれば、全国の物件が掲載されているため、都会にいながら手軽に物件探しをすることができます。不動産屋が仲介するため、所有者と細やかなやりとりをしなくてすむのはメリットである一方、仲介手数料がかかり、割高になるのは否めません。 ・古民家専門の不動産サイト 古民家物件に特化した専門の不動産サイトもあります。物件情報のみならず、古民家暮らしにまつわる情報を発信していることもあるので、古民家での生活を想像しやすいでしょう。 ・地域の不動産屋 移住したい地域が決まっているなら、地元の不動産屋に問い合わせるのもひとつの方法です。大手不動産情報サイトなどに掲載されていない物件を取り扱っていることがあり、掘り出し物が見つかるかもしれません。 ◯空き家バンクから探す 空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を、自治体が集約して紹介する空き家バンクもあります。所有者とのやりとりの形式は自治体によって様々ですが、所有者と直接交渉であることが多いです。 ◯友人や知人に紹介してもらう 移住先に友人や知人がいれば、相談してみるのもおすすめです。普段から古民家を探している旨を話しておくと、思わぬ縁によって古民家を見つけられるかもしれません。 不動産を介さない場合、所有者と直接交渉になることが多いです。所有者の中には思い入れや譲渡時のこだわりが強い人もいるため、交渉の得手不得手を考慮して、探すのも一案です。 ▼関連記事 ・田舎暮らしを始めるなら無料物件がおすすめ!空き家の探し方と注意点 https://pitamachi.com/municipality/topics/343 ■古民家を選ぶ際にチェックしたいポイント 竣工から長い年月を経ている古民家は、設備が古くなっているなど、引っ越してそのまま生活が始められないことも。暮らすにはどのくらいの修理が必要なのか、事前にチェックしておきたいポイントをまとめました。 ◯屋根の傷み 傷みがあると雨漏りが発生する可能性があります。瓦などの屋根材が割れていないか、ずれていないか、確認しましょう。 ◯床の傷み 床がたわんだり、へこんだりしていませんか?そういう部分は腐っている可能性があるので修理が必要です。 ◯床下の状態 湿気がい物件や、過去に浸水をしたことがある物件にも注意を。柱や梁が腐っていないか調べましょう。また、シロアリは暗く湿気があるところを好むため、シロアリに侵食されていないかも調べましょう。 ◯傾きの有無 室内を歩いていて違和感があれば、家が傾いていないかを調べてください。建具はスムーズに開閉できますか?ビー玉を置いて勝手に転がっていけば、その家は歪んでいます。 ◯建具の傷み 隙間風や害虫発生の原因となるため、建具に割れや穴等がないかも確認しましょう。 ◯設備が使えるか トイレ、お風呂、台所といった水回りもチェックしてください。古い設備だとなじみがなく使いづらいこともあるでしょう。特にトイレは汲み取り式が多く、慣れていないと戸惑うので交換した方が使い勝手はよくなります。 ◯配管の傷み 古い物件の場合、配管が痛んでいる可能性もあります。屋外の配管もよく確認しましょう。 ■古民家のリフォーム・リノベーションにはどのくらいの費用がかかる? 長い年月を経てきたからこそ味のある古民家。歴史があるだけに経年によるある程度の劣化は避けられません。住んでから失敗した、なんてことがないように、古民家暮らしの注意点をお伝えします。 ◯古民家暮らしの注意点 ・リフォーム・リノベーションの費用がかかる 古民家は現在の耐震基準を満たしていないなど、購入後そのまま住めない可能性があります。大規模な耐震補強工事だけでなく、腐った建材の取り替え、水回りや電気・ガスの工事が必要になるかもしれません。 購入の際にはリフォーム・リノベーションの費用を勘案し、どの程度改修が必要になるのかを念頭に置いて物件探しをするのがいいでしょう。 ・維持管理に手間がかかる 建材に自然素材が使われていることが多い古民家。経年による劣化は避けられず、害虫も出やすいため定期的なメンテナンスが必要になります。また山に近いなど、自然溢れるエリアは害獣対策も求められます。 ・断熱性が低い 風通しがよく夏は涼しいものの、冬は隙間風が入って寒さを感じやすい木造住宅。特に雪国の冬は寒さ対策が必要になるため、地域の気候も考慮して住まいを選んでください。
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■古民家のリフォーム・リノベーションにかかる費用 ではどのくらいの費用がかかるのでしょうか。建物の状態やリフォーム・リノベーション内容によって金額は変わりますが、ボリュームゾーンは1,501万円~2,000万円とされています。 ◯古民家再生のリフォーム費用の相場・目安 ~500万円 5.1% 501~1,000万円 17.9% 1,001~1,500万円 15.4% 1,501~2,000万円 20.5% 2,001~2,500万円 15.4% 2,501~3,000万円 10.3% 3,001万円~ 15.4% 【出典】 パナソニック 住まいの設備と建材「古民家再生のリフォーム費用の相場・目安」 https://sumai.panasonic.jp/sumai_create/hiyou/kominka/ ■古民家の取得、リフォーム・リノベーションに使える補助金 リフォーム・リノベーションやメンテナンスの費用を考慮しなければいけない古民家は、住むのにハードルが高そう。でも、費用面で諦めるのは早計です。住宅のリフォーム・リノベーションは補助金が出る場合もありますので、賢く活用しましょう。 ◯移住者にむけた補助金 自治体によっては、地域外からの移住者が住宅を取得する際に受けられる補助金制度を設けていることがあります。 ・茨城県東松島市 市外に居住し、東松島市内に住宅を取得しようとする人を対象に、住宅取得にかかる費用の一部を補助します。中古住宅の場合、住宅等の取得に要した費用の10%、または50万円のいずれか低い方が支給されます。 ▼茨城県東松島市 「東松島市定住化促進事業補助金交付制度」 https://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp/index.cfm/22,749,71,html ▼【ピタマチ】宮城県東松島市ページ https://pitamachi.com/municipality/detail/82 ・秋田県にかほ市 秋田県にかほ市には、「定住奨励金」「宅地・住宅取得支援金」の2つの補助金制度があります。 「定住奨励金」は秋田県外から条件を満たして転入した方に70万円、申請者以外の条件を満たす世帯人数1人につき10万円を加算し、合計で最大100万円の定住奨励金が交付されます。また秋田県内の市町村からの移住者も対象です。条件を満たして移住すれば20万円、申請者以外の条件を満たす世帯人数1人につき10万円を加算し、合計で最大50万円の定住奨励金が交付されます。 さらに「定住奨励金」を交付された人を対象に、取得した住宅等にかかる固定資産税額相当額を3年間交付する「宅地・住宅取得支援金」も実施しています。 ▼秋田県にかほ市 「定住奨励金」 https://www.nikahome.jp/pages/pages/residence-subsidy-settlement ▼【ピタマチ】秋田県にかほ市ページ https://pitamachi.com/municipality/detail/214 ・香川県多度津町 香川県多度津町には、県外で3年以上在住した後、定住の意思をもって県外から町内の賃貸住宅に移住する世帯を対象に、住宅の賃借にかかる費用の一部を助成する制度があります。 「住宅初期費用補助金」では、賃貸借契約の初期費用の合計額から、手当を差し引いた額の2分の1または60,000円のどちらか低い額が交付されます。1回に限りの交付です。 「住宅家賃補助金」は、転入した翌月から24カ月目までのうち、最長12カ月分の家賃が対象となります。住宅手当などの事業主が従業員に対して支給する住宅に関する全ての手当を差し引いた賃借料から2分の1、または20,000円のどちらか低い額が支給されます。 ▼香川県多度津町 「移住促進家賃等補助金 ~移住者や定住者の方を応援します!~」 https://www.town.tadotsu.kagawa.jp/soshikikarasagasu/seisakukankoka/iju_teiju/761.html ▼【ピタマチ】香川県多度津町ページ https://pitamachi.com/municipality/detail/154 ◯省エネ工事に関する補助金 「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」は、一定の省エネ効果の向上が見込める断熱リフォームを行なう場合に、費用の一部が補助される制度。 高性能な断熱材や蓄熱・調湿などの次世代省エネ建材を用いることを条件とし、国から補助金が支給される次世代省エネ建材の実証支援事業」もあります。 ただし上記の事業は、年度によって、執行団体や実施内容が変わることがあるため、最新情報を確認してください。 【参考】 ▼公益財団法人北海道環境財団 既存住宅における断熱リフォーム支援事業 https://www.heco-hojo.jp/yR03/danref/index.html ▼一般社団法人 環境共創イニシアチブ 次世代省エネ建材の実証支援事業 https://sii.or.jp/meti_material04/ ◯耐震補強工事に関する補助金 耐震診断や耐震補強工事にかかる費用に対する補助金制度を設けている自治体もあります。適用金額や条件は自治体ごとに異なるため、移住を検討している自治体の情報を確認しましょう。 ◯バリアフリー工事に関する補助金 要支援者や要介護者がいる住宅で、バリアフリー化に向けた工事を行う場合に介護保険から工事費用の9割が支給されるのが「高齢者住宅改修費用助成制度」。自治体によっては、バリアフリー工事に関して独自の補助金制度を設けていることもあります。 ■しっかり下調べをして憧れの古民家ライフを 理想の田舎暮らしを叶えるには、住居にはこだわりたいもの。憧れの古民家ライフを送るには、準備や下調べが大事です。まずは「理想の暮らし診断」で自分に合う移住先を調べ、そこにどんな物件があり、補助金制度があるのか、探してみてはいかがでしょうか。 ▼理想の暮らし診断 https://pitamachi.com/diagnose/desc ▼関連記事 ・東京に疲れたら田舎への移住がおすすめ|田舎で暮らす魅力とは https://pitamachi.com/municipality/topics/411 ・地方移住で失敗しないためには?|事前にチェックしたいポイントとは https://pitamachi.com/municipality/topics/377
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